大幢寺
このお寺のご本尊の十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)のことは、江戸時代の記録が残っています。そこには「奈良時代に行基が造った観音様(かんのんさま)であり、戦国時代の1580年に旅の行者がその観音様をこの大幢寺を開基した三木三沢大居士(みつきみさわだいこじ)に渡された」とあります。観音様のお姿形は奈良時代のものとも、鎌倉時代とも言われています。
大幢寺は1539年に、高山市雲龍寺(うんりゅうじ)の、その頃の和尚により開山されました。
開山を支援した三木氏は天正13年の金森氏との戦で敗れ、当山も建物もふくめ全てが焼失してしまいました。金森長近公はその後、本尊観音様を以前の形を模して造らせ、それが現在のご本尊であると言われています。
※行基 ( ぎょうき/ぎょうぎ):奈良時代の僧。
※大居士(だいこじ):戒名の下の部分。戒名とは、生きている時に使っていた名前と違い、成人した男性が亡くなった後につけられる、成仏(じょうぶつ)したしるしの名前。僧でない一般の人の名前としては最も格が高い。
※開基(かいき):仏寺を作るとき、お金に関係することを助ける、僧でない一般の人。
※開山(かいさん):仏寺を初めて開くこと。また、開いた僧。